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環境ホルモンの基礎知識と包装材料 1.環境ホルモンとは 環境ホルモンとは、環境中に存在して生体に入るとホルモンと似た作用をしてホルモンの分泌系を撹乱し、生殖機能などに悪影響を与えると考えられている化学物質の総称である。 2.動物への影響実態 環境ホルモンの動物に対する影響は1950年代から英国や米国を始めとする地域で出ていたが、その当時は原因物質がよく分からない場合が多かった。 環境ホルモンの影響を受けた動物は、カワウソ、ミンク、カモメ、ワニ、コイ、巻き貝など多種類に及んでいる。 そしてこれらの動物に生殖異常、孵化しない、インポセックスなどの症状が出てきている。 最近では環境ホルモンの動物に対する影響は世界的に広がってきている。 日本でも海岸や多摩川で巻き貝やコイにインポセックスや精巣異常が起こっている。 これらの影響を及ぼす原因物質としては、DDTなどの殺虫剤、PCB、ダイオキシンを始め船底塗料や避妊薬のピル、界面活性剤などが推定されている。 環境ホルモンの人への影響についてはこれまでに明確になっているのは、流産予防に合成女性ホルモンを使用した母親から生まれた女性での膣ガンだけである。 最近よく話題に上がっている精子数の減少や精子の活動性低下に関して、環境ホルモンによる影響の有無については現状では疑わしいが確定はされていない。 3.環境ホルモン物質の種類 内分泌撹乱作用が疑われる化学物質の数は、約70物質ある。 これを用途別に分類すると、殺虫剤・農薬(60%)、プラスチックの原材料・添加剤(20%)、その他(重金属、PCB、ダイオキシン、合成女性ホルモンなど)となる。 米国イリノイ州環境庁(2月'97)では、これら約70種類の環境ホルモンについて、その影響の確実性から3つに分類している。 ・ 影響有り:DDT,ダイオキシン類、DES、PCB、ノニルフェノール、トリブチルスズ(計20種類) ・ 可能性大:ビスフェノールA、カドミウム、鉛、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、スチレン、PBB(計29種類) ・ 疑わしき:アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル、フタル酸ジ-n-ブチル、オクタクロロスチレン(計25種類) 4.国内における環境ホルモン汚染実態 ・ 有機スズ化合物(トリブチルスズ化合物、トリフェニルスズ化合物) 広範囲に残留しており、汚染レベルはほぼ横ばい。1990年法規制の効果の様子。 ・ ビスフェノールA 最近の調査では水質、魚類のいずれからも検出されている。 ・ フタル酸エステル類 水質等から高い頻度で検出されている。1993年には検出されなかったフタル酸ジ-2-エチルヘキシルが1995年には30地点の内4地点で貝類から検出。 5.環境ホルモンと容器包装材料との関連 ・ ポリカーボネート(ビスフェノールAから反応製造可) ポリカーボネートは、国内で食品容器包装用に年間4,000t使用されている。 ポリカーボネート製哺乳ビンを95℃の熱水に入れるとビスフェノールAの検出があったことから端を発している。 1997年9月に大阪市が子供用の抗菌剤入りポリカーボネート樹脂製食器について、その販売会社に対して材質試験で食品衛生法の基準を超えるビフェノールAを検出して回収命令を出した。 メーカーは生産中止を決める。 上記の問題が発生してからは、ポリカーボネート製給食食器の新規導入を見合せる都市が増えている。 ・ エポキシ樹脂(ビスフェノールAから反応製造可) エポキシ樹脂は、缶(飲料、食品)の内面コーティング剤として広く使用されている。 缶詰では、高温高圧殺菌処理され未反応のビスフェノールAが溶出しやすい。 スペインでは市販缶詰の約半数から検出され、その最高値80ppbは乳がんを引き起こす量の27倍に相当すると言われている。 また缶詰の汁だけでなく、内容物の豆やコーンからも同物質が検出されている点も問題。 ・ ポリスチレン(スチレンの重合合成:スチレンダイマー、スチレントリマー) ポリスチレンは、食品の容器包装材料として国内で年間4万t使用されている。 1998年4月に国立衛生研究所でポリスチレン容器(カップ麺容器、食品トレー弁当容器等)を材質検査した結果、25種類すべてからスチレンダイマー及びスチレントリマーが検出された。 カップ麺業界の対応としては、ラット実験依頼、意見広告等、活発な動きが見られる。 ・ 軟質ポリ塩化ビニール(フタル酸ジ-2-エステル類を可塑剤として使用したもの) 可塑剤としてフタル酸ジ-2-エチルヘキシルを配合したPVC樹脂は、食品容器包装材料として国内で年間4万t使用されている。 フタル酸ジ-2-エチルヘキシルの安全性データでは様々なデータが発表されているが、業界のラット実験結果では安全宣言をしている。 6.環境ホルモン対応の容器包装材料動向 消費者や流通業界そして食品業界さらには成型加工業界においても環境ホルモン問題の対策として容器包装材料にも一部で変化が出始めている。 @ 材質変更 :ポリカーボネート → PP ポリカーボネート → PP/PA, PP/EVOH/PE 発泡ポリスチレン → 紙 A 溶出防止 :発泡ポリスチレン → 発泡ポリスチレン + 表面PPラミ B 耐熱性向上:耐熱A−PET(60〜70℃ → 120℃) 7. 国内外の取組み状況 海外では、1972年に世界保健機構などがホルモン作用化学物質についてまとめを行い、内分泌系への影響の問題を指摘したのが最初と言われている。 1991年の米国の会議によって問題認識され、1996年に入り米国の諮問委員会やOECDが環境ホルモンの検査方法の開発に着手した。、 1998年に入り英国では環境庁が工業界に対して自主規制を要請、スイスでの法規制等の動きがある。 日本国内における環境ホルモンに対する取組みは海外に比べて約7年遅れていると言われているが、1998年に入ってから動きが活発となっている。 今年3月には厚生省が食品衛生調査会の毒性、器具容器包装合同部会を開催し、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレンおよびポリ塩化ビニールの安全性について現状把握と審議がなされた。 5月には、環境庁が環境ホルモン戦略計画'98として環境庁の対策方針をまとめ、いよいよ本格的な取組みが始まろうとしている。 |
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