ダイオキシンの基礎知識

ダイオキシン問題に関する基礎知識

ダイオキシンの生成環境

ダイオキシン対策は今や社会問題と化しています。ダイオキシンとは、酸素と塩素または臭素を含む約210種類の芳香族化合物質の総称です。その中で、塩素基が4~8個持つものが毒性を示し、その構造式は、PCBに類似しています。人体への影響として、ダイオキシンは生分解性が悪く、生物濃縮しやすい性質があり、ラット実験等では微量で発ガン性を示します。

「ダイオキシン類は燃焼過程でごく微量の塩素源と未燃物が反応して生成されることが確かめられています。その結果、ダイオキシン類は人類が火を使い出して以来発生しているともいえます。事実、最近の分析結果では、ストーブのすすやタバコの煙、炭焼きステーキなど身近なもののほか、数千年前の地層からも検出されたとの報告もなされています。」(厚生省小冊子)

ダイオキシンは塩素源(漂白紙、塩、しょうゆ、海水,PVC等々)と炭素源が空気中で約250℃~400℃の不完全(低温)燃焼することによって発生します。
現在、日本国内で年間約5kgのダイオキシンが生成されているといわれています。このような生成環境から現在日本の発生源の約8割(4kg)が都市ゴミの焼却です。 従って主なダイオキシン抑制は、焼却炉の設備の問題となります。

「焼却施設からのダイオキシン類は集塵機の灰の中に見つかっています。焼却炉では700℃以上の高温でゴミを燃やしていて、ここで生成反応は起こらず、300℃で運転される集塵機で生成反応が進み、(中略)発生のメカニズムの解明によって、温度が大きな役割を果たしていることが分かってきましたので、(中略)低温運転できる集塵機の使用や(中略)中小の焼却炉では、間欠運転による不完全燃焼が生じ、(中略)従って、ここではいかにして不完全燃焼を防ぐかが課題です。」(厚生省小冊子)

プラスチックとダイオキシン

最近ポリオレフィンの燃焼時にダイオキシンが発生しないことを保証する文書の発行要求を受けることがあります。ダイオキシンの組成は上記のように炭素と酸素と塩素から成り立っており、つまり塩素があればダイオキシンは発生します。

一般のゴミの焼却では塩素のない状態で燃やすことは有り得ません。 よく問題視されるPVC(塩ビ)だけが塩素供給源ではなく、農薬・殺虫剤・防腐剤・食塩・空気中浮遊塩素等いくらでもあります。 また塩素が含まれないプラスチックを燃焼してもそれ自身ではダイオキシンを発生させるということはありません。

ポリオレフィンも塩素の供給源になる可能性はほとんどないと考えられるますが(一部のポリマー製造過程において塩素系含有物質を使用することがあるため極めて微量の塩素が残存している可能性はあります)、社会問題となっている実際の燃焼条件ではいろいろな物質が混焼されることにより、自身でのダイオキシン発生を云々することは社会的に意味がないと言え、現状の焼却実状でダイオキシンを発生させないとは言い切れないということになります。